営業担当が退職すると聞いてから、慌てて名刺やメールを集める。静岡の中小企業を支援する現場で、私が何度も見てきた光景です。
顧客名と電話番号だけ残っていても、次の担当者は動けません。必要なのは、誰が見ても次の連絡を迷わないCRMと、退職者の善意に頼らない引き継ぎルールです。
連絡先だけの台帳では、商談の理由が消える
静岡市から焼津、藤枝まで車で回る営業では、担当者が訪問先の温度感を一番よく知っています。ただし、その記憶が本人の手帳やスマートフォンにしかなければ、異動した瞬間に会社から見えなくなります。
よくあるのは、会社名と代表番号はあるのに「なぜ提案したか」「誰が決めるか」「前回何を断られたか」がない状態。後任が同じ質問を繰り返し、先方から「前にも話しましたよ」と言われる。小さな行き違いですが、地元で長く付き合う取引ほど響きます。
最低限そろえるCRM入力項目
項目を増やしすぎると、外回りの担当者は入力しなくなります。私は、次の人が電話一本かけられる情報かどうかで絞ります。
会社と担当者の基本情報
- 会社情報 正式な社名、所在地、代表番号、業種、拠点
- 窓口情報 氏名、部署、役職、連絡手段、連絡しやすい時間帯
- 関係者 決裁者、実務担当者、紹介者とそれぞれの関係
商談を再開するための情報
- 相談の背景 先方が困っていることと、相談に至ったきっかけ
- 提案履歴 提案内容、提示日、見積番号、先方の反応
- 現在地 初回接触、提案中、検討待ち、失注などの段階
- 次の行動 誰が、いつまでに、何をするか
- 注意事項 避けたい連絡時間、過去の行き違い、約束済みの条件
「感触は良い」のような主観だけでは引き継げません。「社内会議は毎月20日前後。次回は18日に資料を送る」まで書けば、後任が動ける記録になります。
商談メモは事実と所感を分けて書く
入力欄には、事実と担当者の所感が混ざりがちです。そこで商談メモを「先方の発言」「決まったこと」「担当者の見立て」「次回対応」に分けます。先方が言ったことと、こちらの推測を混同しないためです。
たとえば「価格が高いので見送り」だけでは情報不足。実際には予算の時期が合わず、年度替わりに再検討する話かもしれません。聞いた事実を短く残し、次回連絡日を日付で入れる。ここまでが一回の商談です。
訪問後の入力は、一般的に5分から10分で終わる量が現実的です。帰社後にまとめる運用より、駐車場を出る前や次の訪問までの空き時間に記録できる画面のほうが定着します。
退職・異動が決まった日から動く引き継ぎ
最終出勤日の前日に一覧を渡して終わり、では足りません。担当変更が決まった時点で、管理者が対象顧客をCRMから抽出し、進行中の案件から順に確認します。
- 担当顧客を「進行中」「定期接点あり」「休眠」に分ける
- 未入力の面談記録、見積、次回予定を本人が補う
- 上司と後任が案件ごとに内容を読み、質問をその場で解消する
- 主要顧客には前任者と後任者が同席して挨拶する
- 引き継ぎ日をCRMに残し、担当者と次回行動を更新する
- 退職日には利用権限を停止し、共有されていない資料がないか管理者が確認する
引き継ぎ期間の目安は、案件数にもよりますが2週間から1か月ほど。急な退職もあるため、普段から「次回予定が空欄の案件」を管理者が週一回見る仕組みが効きます。
入力率より「次の行動がある案件」を見る
CRMを入れると、入力件数だけを追いたくなります。しかし、長い日報が増えても売上や引き継ぎには直結しません。管理者が見るべきなのは、進行中案件のうち次回日と担当者が入っている割合、期限を過ぎた案件数、担当者未設定の顧客数です。
最初から全顧客を完璧に整える必要はありません。まず進行中の商談と、売上への影響が大きい顧客から。現場の入力負担を確かめながら項目を減らす判断も、立派な改善です。
今の営業方法に合う形から相談できます
NIR株式会社では、既存の表計算や紙台帳を見たうえで、必要な項目と引き継ぎの流れを一緒に整理しています。既製のCRMが合わない場合は、現在の営業手順を大きく変えずに使える顧客管理の設計や開発も可能です。
退職予定が出てからではなく、普段の記録を少し整えるところからで構いません。静岡の営業現場で無理なく続く形を検討したい方は、システム導入・開発を無料で相談するから状況をお聞かせください。