勤怠管理システムから給与計算ソフトへCSVを渡せば、すぐ自動化できる。そう思って進めると、初回の給与確定日に手が止まりがちです。原因は製品の性能より、締め日や時間の扱いが両方でそろっていないことにあります。
私が静岡の導入相談で最初に見るのも、機能一覧ではなく現在の給与明細と手集計の表です。静岡市の事務所、焼津の飲食店、藤枝の小売店では、同じ月末締めでも夜勤や店舗ごとの申請期限で運用が変わります。先に現状を一枚の設定表にすると、連携後の手戻りを減らせます。
連携の成否は、給与ソフト側の受け口で決まる
まず給与計算ソフトから、実際に取り込めるCSVの見本を出します。画面に「CSV対応」とあっても、自由な列を受けられるとは限りません。指定の列順、見出し、文字コード、時間形式が決まっている製品もあります。
ここで特に確認したいのが従業員コードです。勤怠側の「0012」と給与側の「12」は、人が見れば同じでも別人として扱われる場合があります。氏名は同姓同名や表記揺れがあるため、連携キーには向きません。
- 従業員コードの桁数と先頭のゼロ
- 一人一行か、日ごとに一行か
- 時間が「7:30」か「7.5」か
- 未入力を空欄、ゼロのどちらで渡すか
- 再取込時に上書きされる範囲
20日締めなら、20日の夜勤をどちらへ入れるか
締め日は「毎月20日」の一言では足りません。たとえば20日22時に出勤し、21日2時に退勤した勤務を、開始日の20日に置くのか、暦日で分けるのか。勤怠側と給与側で答えが違えば、深夜時間や出勤日数に差が出ます。
基準にするのは、勤務開始日、終了日、予定表上の勤務日のどれか。日付が変わる飲食店やナイト店舗では、とりわけ先に決めておきたい部分です。有給休暇、欠勤、打刻修正の申請を何日まで受け付けるかも締め処理に含めます。
給与確定日から逆算して作業日を置く
目安として、支給日の直前まで修正を受ける運用は避けます。「申請締切」「店長確認」「給与担当の取込」「差額確認」を営業日で逆算し、遅れた申請を翌月調整にするのかも就業規則や社内ルールと合わせます。休日の並びで日程が変わる月もあるため、年間カレンダーで見るのが実務的です。
15分丸めを、そのまま移すのが危ない理由
紙のタイムカード時代から「15分未満は切捨て」という設定が残っている会社は少なくありません。ただし厚生労働省の案内では、日ごとの労働時間を一定単位で一律に切り捨てる扱いは認められていません。月単位の時間外、休日、深夜の各時間に対する端数処理は限定的に示されていますが、日々の切捨てとは別の話です。
システムには、打刻した時刻を原本として残し、給与対象時間を別項目で計算させます。8時57分の打刻を9時に書き換えるのではなく、始業前の3分に業務があったかを確認できる形です。18時7分まで実際に働いたのに18時で打ち切る設定も避けます。
休憩の自動控除も同じです。6時間を超えたら機械的に休憩を引く設定だけでは、忙しくて取得できなかった日の実態が消えます。予定と実績を分け、例外を承認できる流れが必要です。設定の適否は、就業規則を確認したうえで社会保険労務士にも確認すると安全です。
CSVは列名より「その数字の意味」をそろえる
連携表では、勤怠側の出力項目と給与側の取込項目を横に並べます。「残業時間」という同じ名前でも、法定内を含むのか、深夜分が重複して入るのかで金額は変わります。
- 基本情報 従業員コード、所属、対象年月
- 日数 出勤、有給、欠勤、遅刻、早退
- 時間 所定、法定内、時間外、深夜、法定休日、所定休日
- 控除用 欠勤時間、遅刻早退時間
「7時間30分」を小数で渡すなら7.5です。7.30ではありません。分のまま450と渡す製品もあります。列ごとに単位、計算元、重複の有無を書いた対応表を残すと、担当者が替わっても調べ直さずに済みます。
全員分の前に、例外が出た一か月を通す
本番切替の前に、通常勤務だけで試してはいけません。日付またぎ、有給、欠勤、遅刻、休日出勤、打刻修正が入った従業員を含め、過去の一給与期間で試します。勤怠の打刻原本、集計後のCSV、給与ソフト取込後の数字を横に置き、差が出た項目には理由を残します。
初回は旧来の計算も残して並走するのが堅実です。差がゼロだったという結果だけでなく、誰が、どの項目を、いつ照合したかまで記録。翌月に設定を変えた場合も、同じ試験表で再確認できます。
設定表を一緒に作るところからご相談いただけます
NIR株式会社では、勤怠管理の導入前に現在の締め作業と給与ソフトの受入形式を確認し、必要な項目を整理します。KINTAI PROの導入だけでなく、既存システムに合わせたCSV出力や個別開発のご相談にも対応しています。
まだ製品を決めていない段階でも構いません。今の集計表や給与ソフト名が分かれば、連携できる範囲と、手作業として残す部分を切り分けます。システム導入・開発を無料で相談する