静岡市の中小企業でExcelやAccessを見せてもらうと、長年の工夫が詰まっている一方、作った人しか直せない状態も珍しくありません。担当者の退職やOfficeの更新をきっかけに動かなくなってからでは、業務の復元に時間がかかります。
私が受託開発の相談で最初に確認するのは、画面の希望ではなく、月末や繁忙日に人が実際にどう動くかです。ここを飛ばすと、見た目は整っていても現場で使えない仕組みになります。
最初に拾うのは画面ではなく、仕事の流れ
「この台帳をシステム化したい」と言われても、ファイルだけでは仕事の全体像は分かりません。静岡市の事務所で入力し、焼津の倉庫が確認し、藤枝の担当者が請求書を出す。こうした受け渡しまで追って、初めて必要な機能が見えてきます。
一件の注文を最初から最後まで追う
- 誰から、どの方法で依頼が届くか
- 誰が何を見て登録するか
- 途中で確認や承認をする人は誰か
- 帳票や一覧をどこへ渡すか
- 完了を何で判断し、いつ締めるか
通常の日だけでなく、月末、担当者不在、急ぎ対応の日も同じ順で聞きます。紙のメモや口頭確認が途中にあるなら、それも立派な業務工程です。
機能は「誰が、いつ、何のために」まで書く
機能名だけを並べると、「検索」「印刷」「集計」のような曖昧な言葉が残ります。たとえば検索なら、顧客名の表記揺れを許すのか、過去の取引も対象か、閲覧できる部署を分けるのかで開発内容が変わります。
- 入力 必須項目、初期値、入力できる担当者
- 確認 承認の順番、差し戻し、代理対応
- 出力 帳票の形式、並び順、出す時点
- 通知 誰に、どの条件で知らせるか
- 権限 閲覧、修正、削除をどこまで許すか
- 履歴 変更前の値、変更者、変更時刻を残すか
Excelの関数やAccessのマクロも、単なる古い処理とは限りません。値引きの上限や締め日の判定など、社内ルールそのものが埋め込まれていることがあります。数式を消す前に、何を守る計算なのかを言葉にします。
データは列名より「意味」と「持ち主」を確かめる
同じ「顧客コード」でも、部署ごとに付け方が違う。空欄が未登録ではなく対象外を表す。こうした意味を知らずに移すと、件数は合っていても使えないデータになります。
棚卸しでは、項目名、意味、入力元、更新する人、重複の扱い、保存期間を記録します。電話番号の先頭のゼロ、商品コードの空白、日付の和暦と西暦も要注意。外部ファイルへのリンク、Officeの版、32ビットか64ビットかも動作確認に必要です。
「残す・直す・移さない」を急いで決めない
- 現在も使っており、そのまま移す候補
- 重複や表記揺れがあり、統合を検討する候補
- 意味を知る人への確認が必要な項目
- 保管はするが、新しい仕組みでは使わない候補
元ファイルは読み取り用として退避し、移行後の件数だけでなく、主要な合計や抜き取り結果も照合します。判断がつかない値は勝手に補わず、「要確認」のまま残すほうが安全です。
例外処理はベテランの頭の中に隠れている
普段は表に出ない処理ほど、属人化しやすいものです。締め後の修正、返品、二重登録、担当者の急な休み、取引先ごとの端数処理。件数は少なくても、止まると請求や出荷に影響します。
「いつもと違う日」を具体的に聞く
- 同じ顧客が別表記で登録されたとき
- 締め処理の後に数量や金額が変わったとき
- 取込ファイルの列が増減していたとき
- 承認者が不在で期限が迫っているとき
- 途中まで入力した内容を取り消すとき
各例外について、誰が判断するか、元に戻せるか、記録を残すかまで決めます。「詳しい人に聞く」で終わっている箇所こそ、受託開発前に見える化したい部分です。
棚卸し表を見積と受入テストの物差しにする
棚卸し表には、業務名、現在の手段、入力、出力、担当、締切、例外、根拠ファイル、移行判断、完了条件を持たせます。これがあれば、開発会社の見積に何が含まれ、何が別対応なのかを比較しやすくなります。
一般的な目安として、利用者が5〜15人で主要帳票が10種類前後なら、棚卸しだけで5〜10営業日ほど取ることがあります。拠点数、古いデータ量、承認の複雑さで変わるため、短さを優先して聞き取りを削るのは禁物です。
受入テストも「登録できた」だけでは足りません。締め後に訂正できるか、同時に複数人が触っても重複しないか、取込失敗時に途中のデータが残らないか。実際の繁忙日の手順で試すと、運用開始後の手戻りを減らせます。
今あるファイルを生かした相談から始められます
NIR株式会社では、既存のExcel・Accessをすぐに捨てる前提ではなく、現場の流れと残すべきデータを確認しながら受託開発の範囲を整理しています。静岡の拠点へ伺う場合も、まずは代表的なファイルと、困っている作業を一つ見せていただければ十分です。
費用や開発期間を決める前の段階でも、システム導入・開発を無料で相談するから状況をお聞かせください。棚卸しの途中からでも構いません。