静岡市内の美容サロンから電子カルテの相談を受けると、最初は『紙をなくして検索しやすくしたい』という話でも、詰めていくうちに写真を誰まで見られるのかが問題になります。受付、施術者、店長が同じ画面を同じ権限で使う。ここが、導入後につまずきやすいところです。
施術同意書、肌や身体の写真、アレルギーなどの注意事項は、漏れたときのお客様への影響が小さくありません。電子化するなら、保存先だけでなく、見る人、使う目的、消す時期まで店のルールにします。
同じお客様情報でも、用途ごとに入口を分ける
氏名、予約履歴、施術記録、写真を一つの顧客画面に置くこと自体は、引き継ぎの面で便利です。ただし、全項目を常に開いて見せる必要はありません。予約確認では連絡先と来店日時、施術では同意内容と注意事項、会計では購入内容というように、仕事に必要な範囲だけ表示します。
特に写真は、施術経過の記録と、店の事例紹介や広告への掲載を分けて扱います。施術記録への保存に同意したからといって、掲載にも同意したことにはしない。掲載先、顔が分かるか、撤回の連絡方法を別の選択欄にすると、お客様にも説明しやすくなります。
個人情報保護法ガイドライン(通則編)でも、情報システムでは担当者と扱える情報の範囲を限定し、利用者を識別して認証する考え方が示されています。サロンの規模にかかわらず、共通の暗証番号を回す運用は避けたいところです。
店長、施術者、受付で見える画面を変える
私が権限表を作るときは、役職名だけで決めず、実際の仕事を横に並べます。同じ施術者でも、担当外のお客様の全身写真まで見る理由は通常ありません。一方、事故や問い合わせ対応を担う店長には、経緯を確認できる権限が必要です。
小規模店での権限設定例
- 受付は予約、連絡先、来店状況を扱い、施術写真と詳細な注意事項は原則非表示
- 施術者は担当客の同意書、施術記録、必要な写真を閲覧し、追記できる
- 店長は事故対応や確認のため全件を閲覧できるが、削除や一括出力は別権限にする
- 応援スタッフは当日の担当客だけに絞り、勤務終了後に権限が残らない設定にする
閲覧、編集、削除、画像の保存、一括出力は別々に制御します。誰が、いつ、どのカルテを見て何を変えたかという操作履歴も必要です。月に一度、退職者の利用者名が残っていないか、一括出力が行われていないかを店長が確認する。地味ですが効く運用です。
保存期限は年数だけでなく、数え始める日を決める
『念のためずっと保存』は、管理する情報を増やし続けます。個人情報保護委員会も、利用の必要性を踏まえて保存期間を設定し、不要になった個人データは遅滞なく消去するよう努める考え方を示しています。
店内ルールには、対象、保存の目的、起算日、期限、例外、削除担当を記載します。たとえば施術写真は最終来店日から一定期間、掲載用の写真は掲載終了後から一定期間、といった分け方です。期間は契約内容、保証、事故対応、保険の条件などで変わるため、法律上の一律の年数だと決めつけず、必要に応じて専門家や保険会社にも確認します。
- 毎月、保存期限を迎える候補をシステムから一覧にする
- 返金、事故、係争など保留理由がある記録だけ責任者が除外する
- 本データを削除し、バックアップ側の消去時期も記録する
- 削除日、対象件数、実行者を履歴に残す
個人端末に写真を残さない流れまで作る
電子カルテが安全でも、撮影した写真がスタッフ個人のスマートフォンや店のタブレットの写真一覧に残れば、管理は二重になります。カルテから直接撮影し、端末へ保存しない設定が理想です。難しければ、登録完了を確認して端末側を当日中に消す担当と手順を決めます。
清水区や焼津市から通うスタッフが複数店舗を行き来する店では、移動中の端末紛失も想定します。画面の自動ロック、二段階の本人確認、遠隔での利用停止、通信の暗号化を確認。閉店後もログインしたまま受付に置かれていないか、現場で実機を見ることが欠かせません。
導入先の事業者については、データの保管場所、障害時の復旧、バックアップから戻せるか、契約終了時に一括で取り出せるか、解約後の消去方法を確認します。バックアップは存在だけで安心せず、一般的には半年に一度など店で決めた間隔で復元を試し、結果を残します。
今の紙カルテと端末から、無理のない線引きを
権限設計は、高機能なシステムを選ぶ前に、今の受付から施術、会計、閉店作業までを一度たどると決めやすくなります。NIRでは、静岡の店舗で実際に誰が何を見るのかを確認し、必要な画面と保存ルールを整理したうえで導入や改修をご案内しています。
紙と写真アプリが混在していても、最初から全部を入れ替える必要はありません。優先順位の整理からであれば、システム導入・開発を無料で相談するから状況をお聞かせください。店内で続けられる形を一緒に詰めます。