紙の契約書から電子契約へ切り替える静岡の現場で起きていること
静岡市内の製造業様や駿河区周辺の事業者様から「紙の契約書に印鑑を押しに行く時間を減らしたい」「印紙代を浮かせたい」という相談をいただくことが増えました。確かに電子契約を導入すれば、郵送代や印紙代の削減になり、郵送の手間もかかりません。
しかし、単にクラウドツールを入れれば完了かというと、実はそうでもありません。「相手が本人だとどう証明するのか」「社長以外の担当者が署名して有効なのか」「法律に沿った保管ができているか」という実務の壁にぶつかる企業様が非常に多いのが現実です。
これまで静岡エリアで中小企業や店舗の業務DXをお手伝いしてきた経験から、導入時に必ず確認しておくべき3つの実務ポイントを丁寧にお伝えします。
1. 電子署名の「本人確認」はどう担保されているか
紙の契約書であれば、実印の捺印と印鑑証明書の添付によって「間違いなく本人が合意した」と証明するのが一般的でした。電子契約では、この本人確認をデジタル技術で置き換えます。
電子契約における本人確認には、大きく分けて2つのタイプがあります。
事業者署名型(立会人型)と当事者型
- 事業者署名型(立会人型): メール認証などを利用し、クラウド事業者が代わりに電子署名を付与する方式。相手方の負担が少なく、中小企業間の取引で主流です。
- 当事者型: 双方があらかじめ電子証明書を取得し、直接署名する方式。本人性は極めて高いものの、導入コストや相手方の事前準備が必要です。
一般的な売買契約や業務委託契約であれば、事業者署名型で十分法的効力を満たすケースがほとんどです。重要なのは「メールアドレスの厳格な管理」と「必要に応じて2要素認証を組み合わせること」です。相手方が普段使っている連絡先か、担当者個人の捨てアドレスになっていないかを事前に確認する運用ルールを整えましょう。
2. 役員や担当者に「締結権限」があるかの確認
現場で意外と見落とされがちなのが、社内の「締結権限」の整理です。
紙の契約書なら「社長印がないから確認しよう」とブレーキがかかりましたが、電子契約はメールの受送信だけで完結するため、権限のない従業員が勝手に契約を結んでしまうリスクがあります。万が一、権限のない人が署名した場合、後から「そんな契約は無効だ」というトラブルに発展しかねません。
現場で決めておくべき運用ルール
電子契約を安全に運用するには、システムを入れる前に以下の取り決めをしておくことが欠かせません。
- いくら以上の契約は代表取締役の承認(ワークフロー)を必須にするか
- 部長や工場長などの拠点長にどこまでの締結権限を委任するか
- 相手方の送信先アドレスが代表者または権限保持者のものになっているか
システム側で承認ワークフローを設定できるツールを選ぶと、社内の決裁を通さなければ送信できない仕組みを自動化できるため安心です。
3. 電子帳簿保存法に沿った「契約書保存」の要件
電子契約を結んだ後、PDF化された契約書データをどう保管するかも極めて重要です。電子帳簿保存法(電帳法)の電子取引データ保存要件を満たさなければ、税務調査などで指摘を受けるリスクがあります。
保存時に満たすべき主な要件
電子データとして保存する際は、主に次の2点が求められます。
- 真実性の確保: タイムスタンプが付与されているか、または改ざん防止に関する事務処理規程を定めて運用していること。
- 可視性の確保: 「取引年月日」「取引金額」「取引先名」で検索できる状態にしておくこと。日付や金額の範囲検索ができることも条件です。
単にパソコンのデスクトップや適当なフォルダにPDFを保存しておくだけでは、検索要件を満たせません。専用の電子契約サービスやファイル管理機能を活用し、ファイル名に「20260917_株式会社〇〇_業務委託契約書」のように規則性を持たせるルール作りから始めましょう。
静岡の現場に合わせたツール選びと伴走支援
電子契約は便利な仕組みですが、自社の取引規模や現場のITリテラシーに合わない高機能すぎるツールを入れると、現場が使いこなせず形骸化してしまうことがあります。
私たちNIR株式会社では、電子契約システム『調印CHOIN(n-esign)』をはじめ、自社SaaSの開発・導入支援を行っています。NIRの事業内容を見ると分かりますが、単にシステムを納品して終わりではなく、貴社の運用フローに合わせた初期設定や社内ルールの策定まで静岡の現場で伴走します。
「自社の取引先でも使えそうか」「今の保存方法で法律上問題ないか」など、少しでも気になる点があれば気軽にご相談ください。